2022年は寅年!
2022年最初のムーミンブログ!といっても、もう1月7日。お正月気分も抜けた頃でしょうか。ふしぎなもので、穏やかな日々が続くと特別な刺激が欲しくなり、非日常が続くといつもの暮しが恋しくなるような気がします。
今回ご紹介するのは、今年の干支であるトラが登場するコミックスのお話。年賀状やノベルティなどに使われたトラの絵を目にした方も多いことでしょう。
冬は雪に閉ざされてしまうムーミン谷に熱帯の植物が生い茂り、トラまでいるなんて!? まさに非日常、特別な設定のお話です。あるとき、ムーミン谷がひどい暑さに見舞われ、川は干上がり、庭の野菜もすっかりしおれてしまいました。水あびをして暑さをしのいでいたムーミントロールたちは、「ねったいのたね」の入った木箱を見つけます。ムーミンママがタネをまくと、ムーミンやしきは植物で覆われ、ムーミン谷がジャングルに!
ターザンごっこに興じるムーミンたちに、スティンキーが「野生動物を連れてきてやろうか?」と持ちかけます。スティンキーが向かったのは動物園。檻をこじあけ、サルやハイエナ、サイ、大蛇などを逃がしてしまいます。その中に2頭のトラの姿が!
ジャングルと化したムーミン谷はふるさとにそっくりだと喜ぶトラたち。ランチに植物学者のヘムルを食べようとしますが、「ヘムルは消化によくないのよ」と断念、美味しそうな匂いのするムーミンたちを狙います。 「トラが食べにくる!」というちびのミイの知らせを受けて、ムーミントロールとスノークのおじょうさんはムーミンパパとママのいる水あび小屋に逃げ込みます。ワナにハマって海に落ちたトラをムーミンたちが救出。きまりが悪くなったトラは食欲をなくしてしまいました。すっかり仲良しになった動物とムーミンたち。そこへ、動物園から追手が!動物園のものたちはなんとムーミン族をカバだと思い、まとめて動物園に連れ帰ろうとします。力を合わせて撃退に成功したものの、谷には冷たい北風が吹き始めました。動物たちはムーミン谷での自由な生活より、快適な動物園に帰ることを決意。しかし、送っていったムーミンたちまで檻に入れられてしまって……。この続きはムーミン・コミックス第3巻『ムーミン、海へいく』収録の「ジャングルになったムーミン谷」(筑摩書房/冨原眞弓訳) をどうぞ!
今すぐオチが知りたい方は、ムーミンクイズ「ムーミンはカバじゃない! じゃあ何?」をご参照ください。
ムーミンやしきの中に草木が生えてくるお話といえば、小説『たのしいムーミン一家』を連想した方もいらっしゃるのでは。
小説は1948年、コミックス「ジャングルになったムーミン谷」は1956年発表ですから、小説ではさらりと描いたひとつのエピソードをより掘り下げたのがコミックスという見方もできるかもしれません。
小説では、飛行おにのぼうしの魔力によって、シダの葉っぱが大変身。トラは出てきませんが、ムーミンたちがターザンごっこをするなど、コミックスとの共通点も見られます。読み比べてみるのも一興ですよ。現在Eテレで放送中の新作アニメ『ムーミン谷のなかまたち』第8話「とてつもなく大きな魚」にも、木箱に入っていたタネによってムーミンやしきがジャングルのようになる場面が出てきます。やしきの中にツルが伸びていく絵柄のおもしろさはそのままに、独自のアレンジが加えられた展開になっていますので、こちらもぜひご覧ください。
また、『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』では、「熱帯植物のタネ」の入った木箱を沈みゆく海賊船から持ち出したムーミンママと海賊とのユーモラスなやりとりが描かれています。
2022年はムーミン77周年。数字が重なって、なんだか縁起が良さそう? どんな楽しいことが待っているのか、ワクワクしますね! ムーミン公式サイトでは、日常に寄り添うグッズからスペシャルなイベントまで、さまざまな情報をお届けしていきます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
萩原まみ