ニョロニョロのひみつと大嵐
皆さん、お久しぶりの森番ですっ! 突然ですが、問題ですっ! ! 次に挙げる単語は、いったい何の名前でしょう?「ウ-コン(孫悟空)」、「ヤギ (やぎ座)」、「バビンカ (プリン) 」、「チェービー (燕) 」 正解は。。。日本の近海で発生した、台風の名前です!! 実はこれ、世界14カ国等からなる「台風委員会」によって、決められている名前なんだそう。(気象庁ホームページより) 今年は例年より、記録的に台風の多い日本列島。ムーミンの日当日も、台風の影響が懸念されていましたが、なんとか無事に開催できてよかったですね。(もしやムーミン谷の風が吹いたのか!?)
ところで皆さんは、ムーミン谷にも度々、大嵐がやってくるということを知っていましたか? 『ムーミン谷の仲間たち』(講談社/山室静訳)「ニョロニョロのひみつ」が、まさにそんな場面の一つです。ある日、ニョロニョロに冒険心をくすぐられたムーミンパパは、居ても立ってもいられずに家を飛び出します。そこから始まるムーミンパパとニョロニョロの、奇妙な旅。そしてニョロニョロという生き物の核心に迫る、大きな秘密が明かされるのです。
そもそもニョロニョロという存在は、世間一般に広く、次のように考えられていました。
「ニョロニョロは(中略)ただ、ありったけ遠くまでいくことを、のぞんでいるだけだということでした。たとえば、世界のはてとか、水平線のところまで(中略)いきたがっているというのです。」
そんな風に言われて、ムーミンパパの興味がそそられない訳がありませんね。
しかしその一方で、こんなネガティブなことも。。。
「ニョロニョロは、ただじぶんのことだけしか考えない(後略) 」
「(前略) かれらはきけんななかまで、なにかのときには、きっとなにかをやらかすのだともいわれました。」
「ニョロニョロのうわさをするのは、あまりじょうひんなこととされていなかった(後略)」
ひどい言われようです。しかし実際のところ、そんなニョロニョロの噂が本当なのか、ムーミンパパでさえよく知らないのでした。大嵐を前に、ぞくぞくと島へ上陸するニョロニョロたち。夕立に大興奮するニョロニョロの姿を、ムーミンパパは間近で目撃します。
「ニョロニョロたちは島の中央にあつまりました。(中略)いなずまが光るたんびに、小さい電球みたいに光りはじめたのでした。」
「ニョロニョロたちが両手を(中略)ひらひらさせはじめました。みんな、からだをゆすったり、おじぎをしたり、おどったりしています。(前略)かぼそい歌がたちのぼりました。ニョロニョロのさけび声でした。」
「ムーミンパパがいちどもきいたことがないような、すごいかみなりでした。」
そしてついにムーミンパパは知るのです。
『ニョロニョロのひみつは、夕だちといっしょになることなんだ。やつらがいつでもあこがれてさがしているのは、夕だちなんだ・・・・・・。』
「ニョロニョロにいのちをふきこむことは、大夕だちだけができるのです。(中略) たださがすだけなんです。ただ電気のあるところで、ようやくいきることができ、つよくはげしく感じることができるのです。」
今週は台風の季節ということで、ニョロニョロと大嵐についてお話しましたが、いかがでしたか? ニョロニョロの悲しい真実を知ったムーミンパパが、その後どんな行動にでるのか、気になるかたは是非、原作のつづきをご覧くださいね。
思えばムーミン谷という場所は、大嵐だけでなく、火山の噴火、大洪水、さらには彗星が落ちてきたりなど、度々、大きな災害に見舞われています。しかしそんなワイルドで荒らしい一面があるからこそ、一方で実り豊かなムーミン谷の自然というのもあるのでしょうか。。。それでは今週はこの辺で、まだまだ台風の季節は続きそうですが、皆さまもくれぐれもお気をつけください~!
さて、最後に新金庫番からのお知らせです。
お待たせしました~!!2018年8月9日(木)に開催された「2018 ムーミンの日の集い」イベントをおよそ7分のレポート動画としてこちらに公開しました!
このブログからのみご覧いただくことができますので、当日参加できなかったファンのみなさまも、この動画で雰囲気を味わっていただければと思います。素晴らしい掛け合いの朗読『春のしらべ』を披露してくださった松本さちさん&河原木志穂さんと、雰囲気ぴったりなオリジナル曲で、その朗読に演奏をつけてくださった伊賀拓郎さんのステージの一部、そしてインタビューもチラリズムですよ~!!
ムーミン的な夏が一段落しても、引き続き、楽しい情報や、ムーミンの物語をご紹介してまいりますので、秋以降もどうぞよろしくお願いいたします~!