2022年の終わりに考えたい「たいせつなもの」【ムーミン春夏秋冬】
2022年も最後の月になりました。
全国旅行支援が始まり、冬休みのお出かけ気分が高まるなか、2022年最後の(または2023年最初の)思い出づくりにぴったりの「ムーミン谷のナイトウォーク~イルモリノオト~」を掘り下げてご紹介したいと思います。
もう行ったよ!という声も聞こえてきそうですが、紅葉の秋と落葉後の冬ではまったく違う表情を見せてくれる自然いっぱいのムーミンバレーパーク。
原作を読んでから再訪すれば、また新たな発見があるかもしれません。
冬イベント原作『たのしいムーミン一家』
夜の森を散策しながら、音と光の演出を楽しむ「イルモリノオト」。そのベースになっているのは小説『たのしいムーミン一家』です。
ある春の日、ムーミントロールとスナフキン、スニフが飛行おにの黒いぼうしを拾ったことから、ムーミン谷に次々と不思議なことが起こります。
冬に楽しむ夏のお話?
第1章は「ムーミン谷の春」、第2章のぼうしによって引き起こされた出来事については「ムーミントロールのついた嘘?」、第7章のクライマックスの場面は「ムーミン谷の秋のJuhla=お祝い」と過去のブログでもクローズアップしました。
『たのしいムーミン一家』には、春~秋のわくわくするような冒険が散りばめられています。
冬のイベントなのにこのお話?と驚きましたが、「イルモリノオト」の脚本・演出を手がけた小栗了さんは、季節ではなく時勢に合った題材を選び、「たいせつなもの」というテーマで、第3章と第4章のエピソードからオリジナルの作品を作り上げたそうです。
人気声優たち(ボイスキャストの詳しい紹介はこちらのページをどうぞ)が生き生きと演じるキャラクターたちのセリフのなかには、原作のフレーズがそのまま使われている箇所もあります。
新版と旧版のセリフの違い
特に印象的だったのは、浜辺で見つけた船に名前をつける場面。みんな、口々に自分がよいと思う名前を挙げていきます。
スノークのおじょうさんは「小鳥ちゃん」、スノークは「海のタカ」、ヘムレンさんはラテン語で「ムミナーテス=マリーティマ(海のムーミン号)」、スニフは自分が船を発見したから「スニフ号」。
ムーミントロールは、今日はムーミンママのピクニックだからママが決めるようにと主張しますが、ママは謙遜してスナフキンに意見を求めます。スナフキンが「待ちぶせするオオカミ」と提案すると、ムーミントロールがさえぎりました。
その後のムーミンママの言葉を引用してみましょう。
「そうね、わたしがひとりでなにも決められない時代おくれさんだとは、思わないでちょうだい。(略)ボートの名まえは、みんながこれからすることにちなんだものがいいと思うの。『冒険号』って、どうかしら」(新版『たのしいムーミン一家』/講談社刊/山室静訳/畑中麻紀翻訳編集)
実はこの部分、新版として改訂されていない文庫版では、少し表現が異なります。
「わかりましたよ、ぼうや。わたしがへんてこで、むかしふうだとは考えないでちょうだい。(略)ボートはみんながこれからしようと思ってることに、縁のある名前がいいと思うの。――そこで、『冒険号』としたらいいと思うんだけど」(講談社文庫『たのしいムーミン一家』/講談社刊/山室静訳)
それを受けてムーミントロールが言った言葉も、新版は「最高だね」、旧版は「ばんざあい」。
他のみんなが考えた名前はほぼ同じですが、スノークのおじょうさんの「小鳥ちゃん」だけ、旧版では「おちびさん」と意訳されています。
まだ旧版しか読んだことがない方は、新版をぜひ! 全体を読み比べるのは大変かもしれませんが、こんなふうに部分的に拾って読んでみるのも一興です。
新登場のヘムレンさんと大人気のニョロニョロ
このお話のキーとなるキャラクターといえば、パークイベント新登場のヘムレンさんと、大人気のニョロニョロ。
12月11日(日)にはアプリARカメラでニョロニョロ大発生を体感できるスペシャル企画が!
毎月11日のニョロニョロの日にはバッジ無料配布や限定アートラテ販売などもありますよ。
毎週金曜日と「イルモリノオト」ラスト3日間の2023年1月7日(土)~9日(月・祝)は、パーク内のムーミン谷エリアに仲間たちが姿を見せる夜の特別グリーティングを実施。
トゥーティッキにも会えるかも!?
また、展示施設コケムスでは新企画展「ムーミン谷のしあわせなくらしのかたち展」が始まりました。
夕暮れ頃には、開園以来初めて水浴び小屋の扉が開き、トゥーティッキを含む誰かが冬の装いで遊びにやってくるシークレットグリーティングも!
スケジュールをご確認の上、感染&防寒対策を万全にしてお楽しみくださいね。
今年限りの「たいせつなもの」
なかなかお出かけができない~という方は、原作を読んで、夏のムーミン谷やご自身の「たいせつなもの」に思いをはせてみるのはいかがでしょうか。
ムーミンバレーパーク限定のお土産や冬ギフトからお気に入りを探すのもいいですね!
2022年を振り返ってみると、日本のムーミンファンにとっては大きな変化のあった年でした。
マニア心をくすぐる企画の数々でファンの気持ちに寄り添い盛り上げ続けてくれたムーミン公式ファンクラブ「We Love MOOMIN」の終了と新しいファンクラブの誕生(2023年春頃予定)。
3月にスタートしたMOOMIN SHOPオンラインには、楽天市場店が加わりました。
来る12月16日(金)、MOOMIN SHOP GINZAが銀座インズ1にオープンします。
そして、2022年12月25日(日)には、約20年の長きにわたって愛されてきたムーミンベーカリー&カフェ 東京ドームシティ ラクーア店が惜しまれつつ閉店。
限定メニューのクリスマスハムやベーカリーで焼き上げるフィンランドパンが味わえるのも今年で最後になってしまいました。
思い残すことのないよう、「たいせつなもの」を見きわめながら、残された日々を愛おしんで過ごしていきたいですね。
文と写真/萩原まみ(text&photo by Mami Hagiwara)
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