(82)ムーミンのある暮らし
さりげないけど存在感たっぷり。昔と今がまざりあう家の中でもムーミンはしっくりくる
最近トーベ・ヤンソンの作品が好きな人たちの集まりがあった。当然のようにお茶の時間に登場するのはムーミンマグ。みなにママと呼ばれる人がありったけのマグをカゴに放り込んで持ってきてくれるのだ。中にはビンテージショップで「これ、今なら1000ユーロ級なのよ」と言われたものもあった。その時の気分で選んだり、自分のもっていないマグを選んだり...私はチョコエッグで4回連続ヘムレンさんを出してからは、腐れ縁かとヘムレンさんを選んでしまう。他の人のマグをみながら、自分とそのマグにまつわる話をしてくれる人がいたり。改めてムーミンのグッズには使っている人たちの沢山の思い出やエピソードが詰まっているんだなと思う。とくにこうやって何年も普段使いで活躍しているムーミンマグともなると、話は尽きない。
そして驚くほどマグをはじめムーミンのグッズをプレゼントされている人の多いこと。ムーミンが好きだから、でなく、ムーミンのグッズをもらってからムーミンが好きになるという人も少なくはない。さらにそこから本を手にする人、コミックやアニメまで知らなかったムーミンの世界をより知りたいと集め始めたり。家を離れ独立する子が引越し荷物の中にムーミンのマグを入れていく、子供の頃につかっていた布は再利用して猫の寝床に敷いてやる。やがて誰かと誰かが出会い一緒に暮らすようになったときに、ひとつしかなかったムーミンのフィギュアがもう一人のフィギュアと仲良く並んで食器棚に飾られてみたり。
来年のトーベ・ヤンソン生誕100周年の記念の年に、トーベ・ヤンソンが好きな人たち、ムーミンが好きな人たちであれこれやろうと盛り上がりつつある。心に残る物語、ムーミンのあの思い出、そんなことを人々がいつもより沢山語ってくれる機会が増えるのではと楽しみにしている。それにしてもムーミンたち、いろんな人のいろんな人生を見てきてるんだろうなあ。
森下圭子
森に囲まれた小さなダイニングの窓辺。ムーミンママが置いていったのでしょうか。
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