この絵はどんな場面?【ムーミンクイズ】

昨年末、銀座インズ1にオープンしたMOOMIN SHOP GINZA(ムーミンショップ ギンザ)
今回は、その限定グッズなどに使われているアートについて、クイズ形式で深堀りしていきたいと思います!

ニョロニョロのメインビジュアルと、5つの場面が組み合わせられたオープン当初の店頭ポスター。
この6点に共通することはいったいなんでしょうか? 

ムーミンショップビジュアルの共通点は?

これらはすべて1冊の本、『ムーミン谷の仲間たち』(講談社刊/山室静訳)から採られています。
大人も子どもも楽しめる9つの物語が収められた、ムーミンシリーズ唯一の短編集です。

さらに3点は同じ短編の挿絵なのですが、どれとどれとどれがなんというお話から選ばれたものでしょうか?

答えは「世界でいちばん最後の竜」
ムーミントロールが水たまりで小さな竜を見つけるお話です。

偶然、もはや絶滅したかと思われていた幻の竜をつかまえたムーミントロール。もっと仲良しになってからみんなに披露しようと、竜の入った瓶を胸に隠すようにして自分の部屋へと向かいます。

その様子を見逃さなかったリトルミイ(ちびのミイ)。
なんとか秘密を聞き出そうとしますが、ムーミントロールが真っ先に知らせたかったのはスナフキンでした。

ところが、小さな竜は世話焼きのムーミントロールよりも、スナフキンのことを気にいってしまって……。

物語の終盤、ムーミントロールとスナフキンはふたり並んで釣りをしています。
スナフキンはいつもの古びた帽子をかぶっていませんね?
その理由、竜がどうなったのかはぜひ原作を読んでみてください。

リトルミイの隣にいるのは?

ポスターの左下、リトルミイが顔の見えない女の子と立っている絵。
これは「目に見えない子」の挿絵です。

ある日、ムーミン一家の友だちトゥーティッキが、おばさんからひどい仕打ちを受けて姿が見えなくなってしまった少女ニンニを連れてきました。
ムーミンやしきの人々の温かい励ましで、ニンニは少しずつ姿を取り戻していきますが、顔だけは見えないまま。

そんなニンニにミイは強めの言葉をかけます。

「あのさ、たたかうってことをおぼえないかぎり、あんたは自分の顔を持てるわけないわ。ほんとよ」
(新版『ムーミン谷の仲間たち』/講談社刊/山室静訳/畑中麻紀翻訳編集)

ムーミンバレーパークエンマの劇場で、2020年3月から2021年2月まで上演されてとても評価の高かったショー「勇気を知った少女~ムーミン谷の仲間たちより~」の原作としてもおなじみで、ファンの多い名作です。

ワニと女の子

6点のなかで、ちょっと意外だったのが、ワニを連れた女の子の絵。
先月のブログ「2023年は卯年! ムーミンのお話にうさぎは出てくる!?でも触れましたが、静かなのが好きなヘムレンさんの一場面です。

この女の子、誰だかわかりますか?

実は、原作にも名前は出てきません。

騒がしいことが苦手なのに、遊園地で入場券にパチンと穴を開ける仕事をしていたヘムレンさん
大雨が続いて、遊園地が崩れ落ちてしまったとき、やっと自分の好きなように暮らせると内心ほっとしていました。
がっかりしたのは遊び場を失った、クニットやホムサやミムラの子どもたち。流されたジェットコースターのパーツや白鳥の船などを集め、遊園地を再建してくれるよう、ヘムレンさんに頼んだのです。

この絵に出てくるのは、頭が三つのワニとして、びっくりハウスで飼われていたワニ。偽物の二つの頭がなくなったので、ご機嫌な顔をしています。

メインビジュアルのニュロニョロの場面は?

メインビジュアルに起用されたのは、主人公のムーミントロールでも、人気キャラクターのスナフキンでもリトルミイでもなく、ムーミン谷でもっとも神秘的な生きものであるニョロニョロ。

これは「ニョロニョロのひみつ」の扉に使われている、具体的な場面の挿絵ではなく、ストーリーを象徴するようなイラスト。
ムーミンパパのシルクハットと、大勢のニョロニョロたちが描かれています。

突然、ニョロニョロのボートに乗り込んで、旅に出てしまったムーミンパパ。
物言わぬニョロニョロたちと過ごすうちに、だんだん彼らと同化したような感覚を覚え始めます。自分自身さえも信用できなくなったとき、ただひとつだけ変わらず、心の拠り所となったのが、ムーミンママから贈られた黒いシルクハットでした。

ニョロニョロの謎については、ブログ「ニョロニョロが船に乗るときは奇数、偶数?」「ニョロニョロについて知っておきたい7つの謎」でも詳しくご紹介しています。

このように、ムーミンの絵にはそれぞれ、物語が秘められています。かわいいなと思ったら、ぜひ原作を紐解いてみてくださいね。

文と写真/萩原まみ(text&photo by Mami Hagiwara)