もっともっとヘムレンさん!【ムーミン春夏秋冬】
先月のブログ「ヘムレンさんに愛を!」では、ムーミンバレーパークに新登場したヘムレンさんにちなんで、ムーミンのお話に出てくるたくさんのヘムル族のキャラクターについてご紹介しました。
でも! 個性的なヘムルはまだまだいます。
そこで今月も引き続き、その魅力を深堀りしていきたいと思います。
まだまだいるヘムルたち
パークのヘムレンさん=植物収集家のヘムレンさんはワンピースを着用。
小説『ムーミン谷の彗星』には次のような文章があります。
ヘムルというのは、スカートをはいて歩くのです。どうしてなのかは、わかりませんけれど。たぶん、ズボンをはいたらどうかなど、考えたことがないのでしょうよ。(新版『ムーミン谷の彗星』/講談社刊/下村隆一訳/畑中麻紀翻訳編集)
このことからも伝わるように、ムーミンの物語にはジェンダーや性別があいまいな部分があります。
前回、あえて女性/男性で分けたわけではないのですが、取り上げたヘムルは男性ばかりでした。
ヘムル族の女性って!?
女性のヘムルでよく知られているのは、小説『ムーミンパパの思い出』のヘムレンおばさん。
ムーミンパパが置き去りにされていたムーミンみなし子ホームの経営者で、教員熱心な堅物です。
実は序章に「生きている人たちの思惑を考えて(略)フィリフヨンカをヘムレンにしたり」という記述があり、その人物が本当にヘムルなのかは読者の想像に委ねられています(その設定を踏まえ、平成アニメ『楽しいムーミン一家』ではフィリフヨンカの姿で描かれました)。
小説のヘムレンさんの挿絵はこんな感じです。
このキャラクターはヘムル?
では、これは誰でしょう?
こちらは、コミックス第14巻『ひとりぼっちのムーミン』に出てくるムーミンパパのおばさん(英語ではAUNT JANE)。
そっくりですよね!
ムーミンパパのおばさんということは、ムーミン族? 姿も、口うるさくて厳格な性格もよく似ていますが、小説のヘムレンおばさんとコミックスのジェーンおばさんは別人?
コミックスでは『ふしぎなごっこ遊び』のミーサのお姉さんのマーベルも、『ムーミンキャラクター図鑑』によるとヘムルに分類されています。
でも、妹のミーサは見た目からいってもヘムル族ではなさそう。
種族が違っても親族だというケースもあるのか(ムーミントロールとガールフレンドのスノークのおじょうさんも別の種族)、血縁があろうがなかろうが家族は家族なのか(小説『ムーミンパパ海へいく』にはミイがムーミン家の養女になったという記述があります)、また、みなし子のはずのムーミンパパのおばさんとは?
興味は尽きませんね。
ヘムルらしからぬ控えめな少女
『ムーミン谷の夏まつり』に登場するのは、心優しい女の子の小さなヘムルのむすめ。
ろうや番のヘムルのいとこで、誤解からろうやに入れられてしまったムーミンたちを見張るよう、ろうや番から頼まれますが……。
もしも、「ヘムルってあまり好感が持てないタイプが多いのでは?」なんて思った方がいらしたら、この健気で親切な小さなヘムルに注目してみてください。
このエピソードは、新作アニメ『ムーミン谷のなかまたち』シーズン1第7話「スナフキンと公園番」では、ろうや番を女性ヘムルに変更、ユニークなアレンジで描かれています。
署長さんと十一月のヘムレン
権威や決まりごとが好きで、頑固な性格の人物が多いヘムル族のものたちは、教育者や警察官向き。
アニメでもおなじみのコミックスのキャラクター署長さんもヘムル族です。
最後にもうひとり、『ムーミン谷の十一月』のヘムレンにも触れておきましょう。
ヘムレンであることにうんざりした彼は、ムーミンパパに会いにムーミンやしきへとやってきます。
ところが、ムーミン一家は灯台に行っていて留守。
同じように訪ねてきたフィリフヨンカ、ホムサ・トフト、ミムラねえさんたち、そしてスナフキンと交流をするうちに、彼は少しずつ変わっていきます。
タイトルどおり、秋から冬にかけてのお話ですが、思い切って一歩踏み出す勇気がもらえそうなストーリーなので、新生活が始まるこの時期に読むのもオススメです。
ムーミンバレーパークのスプリングフェスティバル2023は4月23日(日)までの開催。
さまざまな企画が楽しめるHemulen‘s academy(ヘムレンズアカデミー)も要チェックです。
海のオーケストラ号ではヘムレンおばさんの姿を見ることができますよ!
文と写真/萩原まみ(text&photo by Mami Hagiwara)
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