ニューヨークのボタニカルガーデン(植物園)で特別企画「サマー・オブ・ムーミン」が開催中!【本国サイトのブログから】

ムーミンの小説では、これまでずっと自然が物語の中心に描かれてきました。この夏、そんなメッセージが込められた特別企画「サマー・オブ・ムーミン」が、アメリカ・ニューヨーク市のニューヨーク・ボタニカルガーデン(NYBG)で開催されています。植物園を巡る新しい幻想的なイベントは、2026年5月23日から2026年9月13日まで行われています。家族連れをはじめとする多くの来園者を魅了することでしょう。ムーミンたちのように、自然の中で笑顔をもらいましょう!
今日、日常生活の中で緑に触れる機会がないまま暮らす人々がますます多くなっています。「ガーディアン」紙が引用した研究によると、人々の自然とのつながりは1800年以降で60%以上低下しており、その変化は、「川」や「コケ」といった自然を表す言葉が書籍から減少していった傾向とほぼ重なっているのだといいます。

現代社会は、自然の大切さを見失いつつあるのかもしれません。でも、「ムーミン」の作者であるトーベ・ヤンソンは、自然の価値を決して忘れませんでした。トーベの作品には、きらきらと輝くコケ、もの憂げな森、心を揺さぶる雷雨 など、自然の姿が細やかに描かれています。彼女の物語では、“自然”それ自体が重要な登場人物なのです。
この自然との繋がりは、ムーミンの物語にも息づいています。
ムーミン一家は、緑豊かな森や岩の山々や青い海に囲まれた、のどかなムーミン谷で暮らしています。ムーミンたちを取り巻く自然は、単に住む場所であるだけでなく、暮らしを共にする存在なのです。自然は、畏敬の念を抱かせながらも安心感を与えてくれます。しかし一方で、予測不可能で荒々しく、危険な一面もあります。ムーミンの物語では、こうした自然のさまざまな姿が、ありのままに描かれているのです。

「ああ、森や海や、雨や風、そして太陽の光や草やコケ、ぼくはどれも好きでたまらないのに。もしもみんななくなってしまったら、ぼくはとても生きていけないな」
『ムーミン谷の彗星』(下村隆一/訳 講談社)より

ニューヨークで「サマー・オブ・ムーミン」を満喫しよう!

ムーミントロールと仲間たちにとって、夏はワクワクするような冒険や、ふと思い立って出かける旅、そして屋外で過ごす時間を楽しむ季節です。ムーミンの物語の多くは暖かい季節が舞台になっています。なにしろ、ムーミンたちは冬の間は冬眠しているのですから!
5月23日から開催されているイベントでは、来園者はさまざまなアクティビティやアウトドアでの冒険を通して、自然がもたらしてくれる好奇心や幸福を感じることができます。このイベントは夏の特別展「フラワー・パワー」と連動して開催され、ムーミンの物語における自然の意味と、平和と愛の象徴としての花への知識を深めることが結びつけられています。

アクティビティの中には、「ムーミン谷の謎」を解きながら手がかりを探すクエストゲーム、自然の素材を使ったクラフト体験、キャラクターと写真が撮れる大型フォトスポットなど、物語からインスピレーションを得たものがたくさんあります。子どもも大人も、自然の喜びと不思議を体験できるでしょう。

「花が咲いて、実がなりました。りんごのようなおいしい実は、さっそく食べられてしまいました」
『ムーミンパパの思い出』(小野寺百合子/訳 講談社)より

共にトーベ・ヤンソンの親族である、ムーミンキャラクターズ社のクリエイティブ・ディレクターのジェームス・ザンブラ氏と、事業開発ディレクターのトーマス・ザンブラ氏は次のように語ります。
「『サマー・オブ・ムーミン』は、私たちにとって特別な取り組みです。トーベ・ヤンソンの物語は、いつも好奇心と自然への深い敬意を大切に描いてきました。ニューヨーク・ボタニカルガーデンとの協働は、トーベが創り出した世界を新たな方々に届ける素晴らしい機会だと感じています。『ムーミン』の物語では、冒険は自然の中から始まります。このイベントで物語の世界にふれた人々は、自然がもたらす喜びと安らぎに、あらためて気づくことができるのです」
「次に続く世代のために私たちの世界を守っていくことを考えると、ムーミンの世界の中心にある自然とのつながりの精神は、これまで以上に重要なものとして感じられます。この愛されてきた物語を通して、家族や子どもたちが自然と触れ合う機会を持つことができ、未来の世代に自然を大切にする新しい気持ちを育んでもらえたらと願っています」

人と植物のための拠点

1891年の開園以来、ニューヨーク・ボタニカルガーデンは、人と植物、そして私たちが共に生きる地球を結ぶ拠点となってきました。ニューヨーク市で最も緑豊かなブロンクス区の中心部に位置し、著名な展覧会や没入型体験、アートや音楽などのさまざまなイベントを通して、植物園を生活の一部として感じてもらえるよう、約135年にわたって来園者を迎え入れてきました。
ニューヨーク・ボタニカルガーデンの献身的な園芸家たち、教育者たち、そして科学の探求者たちは、自然が健やかに育まれるよう尽しています。それは私たち人類もまた繁栄するためでもあるのです。毎年、何万人もの子どもたちとその家族に、環境を守ることの大切さを伝えています。

自然を祝う祭典に参加しよう

ここ数年、アメリカでは「ムーミン」の物語がもたらす喜びが、ますます広がりを見せています。ニューヨーク・ボタニカルガーデンでのイベントは、スウェーデンのキャンディBonBonと「ムーミン」 との新しいコラボ企画や、シアトルの国立北欧博物館で開催される、ムーミンの物語とトーベ・ヤンソンの人生における「海」の意味を深く掘り下げる新しい展覧会とも同じ時期に行われます。

自然の祭典「サマー・オブ・ムーミン」は、ムーミンの世界に初めてふれる人も、長年のファンも、同じように参加できるイベントです。プログラム、ワークショップ、家族向けのイベントの詳細は夏の間に順次発表されるので、どうぞチェックしてみてくださいね!

「花のかおりとミツバチのブンブンいう音でいっぱいな、気持ちのいい、あたたかな午後でした。庭は、夏のおわりの深くこい色につつまれ、美しい花束のようにまぶしく輝いていました」
『たのしいムーミン一家』 (山室静/訳 講談社)より

翻訳/内山さつき