南国気分でムーミンの日2023!【ムーミン春夏秋冬】
今年も8月9日、ムーミンの日が近づいてきましたね。
2023年のムーミンの日のテーマは「Enjoy!」。
キービジュアルにはバカンスをテーマにした新プロダクトシリーズ「RIVIERA(リビエラ)」が使われています。
夏にぴったりのグッズがたくさんリリースされているので、すでに愛用なさっている方も多いことでしょう。
ムーミンバレーパークでも夏イベント「リビエラ」を開催中。
水着姿のムーミントロールとスノークのおじょうさんが来園者を楽しませてくれています。
ほかにも、メッツァ花火大会など、夏気分満載のイベントが目白押し。
関東だけでなく、全国でさまざまな企画が準備されていますから、最新情報をチェックしてくださいね!
水着姿がキュートなスノークのおじょうさん
さて、「RIVIERA(リビエラ)」のベースとなったのはムーミン・コミックスのエピソード「Moomin on the Riviera」。
日本語版は第10巻『春の気分』収録の「南の島へくりだそう」です。
新聞を読んで、華やかなセレブが集う南の国に行きたい!と言い出したスノークのおじょうさん。ムーミンパパも乗り気になり、ムーミントロールとムーミンママも巻き込んで、小さなボートで南へと出航します。
ところが、たどりついた先はどこもかしこも高い塀で囲まれた私有地だらけの高級リゾート地。
ムーミンたちはホテルが有料とも知らず、親切なご招待だと思い込んでスイートルームで暮らし始めますが……。
憧れの本物のプールにやってきたのに、水着がなくて泳ぐことができないスノークのおじょうさん。
一計を案じ、資金を調達してから高級ブティックへ。
顔を赤らめながら試着したビキニを購入、布の下で着替えてムーミントロールに披露する姿が超キュート!
高級ビーチのムーミンママ
リゾートを満喫するスノークのおじょうさんとムーミンパパに対し、ムーミントロールとムーミンママは戸惑いを隠せません。
ビーチでひと息つこうとするものの、デッキチェアにはさまれてしまい、しかもパラソルもチェアも有料だと言われる始末。
近頃、アングリーフェイスなどのぬいぐるみが人気ですが、ふたりの表情の愛らしさにもご注目!
アニメ『南の海で楽しいバカンス』
この「南の島へくりだそう」は、2014年に『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』として、フィンランドとフランス合作で長編アニメ化されています。
コミックス原作ならではのウィットに富んだ展開と、独特な色づかいが美しい作品。
配信サービスやソフトで観ることができますから、ぜひご覧ください。
ハンモックでくつろぐムーミンパパ
ムーミンパパがハンモックに横たわる絵はいくつかのエピソードに登場しますが、これは第3巻『ムーミン、海へいく』の表題作から。
意外なのが、砂に埋もれているかのようなムーミントロールで、元になったのはなんと小説『ムーミン谷の冬』の挿絵です。
リトルミイがグラスの横に立っている絵は絵本『それからどうなるの?』。
どんな場面なのか、ぜひページをめくって探してみてください。
しましま水着のムーミントロール
海や泳ぎの大好きなムーミントロールが着るのは、しましまの水着。
第8巻『ムーミンパパとひみつ団』収録の「やっかいな冬」、冒頭の2つのコマが「RIVIERA(リビエラ)」に使われています。
第1巻『黄金のしっぽ』収録の「ムーミンパパの灯台守」では、スノークのおじょうさんとムーミンパパのしましま水着姿も見ることができますよ。
スノークのおじょうさんは島とリゾート地では水着を分けているんですね!
トーベの『リヴィエラへの旅』
ところで、コミックスの日本語タイトルは「南の島へくりだそう」、映画は「南の海で楽しいバカンス」(原題はコミックスも映画も「Moomin on the Riviera」)。島なのか海なのか、よく間違えそうになります。
Rivieraはイタリア語で、海岸や川岸の意味。転じて、「海岸の景勝地」という意味もあるとか。
フランスからイタリアにかけての地中海沿岸一帯を指す実在の地名でもあります。
旅行好きだったトーベ・ヤンソンは、ムーミンシリーズの筆を置いた後、数多く書き残した短長編のなかで旅についてたびたび綴っています。
ずばり、『リヴィエラへの旅』という題名の短編もあり、『メッセージ トーベ・ヤンソン自選短篇集』(久山葉子訳/フィルムアート社刊)、『トーベ・ヤンソン・コレクション クララからの手紙』(冨原眞弓訳/筑摩書房刊)、『トーベ・ヤンソン短篇集』(冨原眞弓訳/筑摩書房文庫)で読むことができます(詳細は「トーベ・ヤンソンの本」をどうぞ)。
リヴィエラを訪れた個性の強い母と娘が奇妙な体験をする様子は、ムーミン・コミックスに通じるものがありつつ、大人向けの作品として強い印象を残します。
猛暑続きの日本の夏、お出かけもいいですが、ときには涼しい部屋でムーミンやトーベの本を読んで旅気分を味わうのもおすすめ。どうぞ自分なりの夏をEnjoy!してくださいね。
文と写真/萩原まみ(text&photo by Mami Hagiwara)