ムーミン谷のみんなの「勇気」【ムーミン春夏秋冬】
小説『ムーミン谷の彗星』出版から80周年、今年のテーマ“We are braver together(一緒にいれば、もっと勇敢になれる)“にちなんで、以前のブログ「ムーミン春夏秋冬」ではムーミントロールの「勇気」についてお伝えしました。
今回は主人公ムーミントロールだけでなく、ムーミン谷の仲間たちのさまざまな勇気について、さらに掘り下げてみたいと思います。
彗星の脅威にみんなで立ち向かう
ムーミン谷に異変が起きて、子どもたちが怯えてしまったとき、ムーミンパパとムーミンママは、自分の目で確かめに行くよう勧めます。遠くおさびし山の天文台へと旅立つムーミントロールとスニフはもちろんですが、送り出す親たちにとっても、勇気のいることだったでしょう。
旅先でスナフキン、スノーク、スノークのおじょうさんと出会い、次々と危ないめに遭いながら、ときには竹馬に乗って干上がった海を越え、ムーミンやしきに戻ろうとする一行。まさに“We are braver together“、ひとりでは難しいことも仲間と一緒ならより強くなれる、そんな姿が描かれます。

スノークのおじょうさんの勇気
『ムーミン谷の彗星』で、スノークのおじょうさんはおそろしい食肉植物につかまってしまったところをムーミントロールに助けられます。
足輪をなくして騒いだり、彗星を恐れて顔が緑色になってしまったり、か弱きヒロインの役回りかと思えるスノークのおじょうさんですが、実はとてもじょうずに竹馬を乗りこなし、挿絵でも誰より涼しげな表情。
難破船の暗がりに潜んでいた怪物の大ダコに襲われたときも、偶然ではありましたが、鏡に光を反射させてムーミントロールを救うなど、みずから行動する強さと賢さが感じられます。

いつだって恐れ知らずのリトルミイ
困難に見舞われたら、誰だって恐れや戸惑いをいだくはず。ムーミンたちもそれを乗り越えて行動を起こすケースが多いなか、最初から迷うことなく突き進む者もいます。そう、リトルミイ(小説ではちびのミイ)です。
『ムーミン谷の冬』で、冬眠から目覚めてしまったとき、「冬をねじふせてやろう」という意気込みで外に飛び出します。

『ムーミン谷の夏まつり』では、移り住んだ劇場からボチャンと水に落ちて、みんなとはぐれてひとりぼっちになっても、横に浮いていた裁縫かごにちゃっかりと潜り込んでぐっすり眠ってしまいます。
終盤、ムーミンパパの書いたお芝居のなかでミムラねえさんが襲われている!と勘違いしたときには、舞台に飛びあがって自分よりずっと大きいライオンの足に噛みつきました(その足に入っていたのはかわいそうなビーバーでしたが)。

グッズでも高い人気を誇るリトルミイ。ムーミンバレーパークにはリトルミイだけ集めたショップ「リトルミイの店」があるほどです。新しいトピックとしては、11月12日発売のゲーム『ムーミン:ムーミン谷の夏まつり』ではリトルミイになって冒険を楽しむことができますよ!
勇気を知った少女ニンニ
『ムーミン谷の仲間たち』は、ムーミン谷の小さな生きものたちの勇気が詰まった短編集。
なかでも、「目に見えない子」は、ムーミンバレーパークのショーのタイトルが「勇気を知った少女~ムーミン谷の仲間たちより~」だということからもわかるとおり、目に見えなくなってしまった少女ニンニが勇気を出して自分を取り戻すまでのお話です。
トゥーティッキに連れられてムーミンやしきにやってきたときには、姿が見えなくてどこにいるかわからないため、首に目印の鈴をつけていたニンニ。
ムーミンママの優しさ、リトルミイの強さに触れ、だんだんと体やリボンが見えてきて、あとは顔だけ……。

ニンニが姿を取り戻すきっかけになったのは、自分自身のことではなく、大好きなムーミンママを助けたい!という衝動でした。

ムーミンバレーパークの「勇気を知った少女~ムーミン谷の仲間たちより~」の映像は展示施設コケムスで観ることができます。そのオリジナル楽曲「おっきいりんごの唄」に合わせてみんなで楽しむ参加型ショー「アップル・ポップ・プレイタイム!」もエンマの劇場で好評開催中!
また、ムーミン公式ファンクラブの会員限定コンテンツである10月のカレンダー、MOOMIN SHOP ONLINEのノベルティ(なくなり次第終了)にニンニが起用されるなど注目度が急上昇、ムーミンショップでは10月1日(木)からフェアが始まり、グッズの種類も増えてきました。
仲間たちそれぞれの勇気
さらに2作ほど、印象的なエピソードを『ムーミン谷の仲間たち』からピックアップしておきましょう。
「春のしらべ」で、名もなき小さなはい虫のティーティ・ウーは、憧れのスナフキンを見かけたとき、思い切って川を渡り、勇気をふりしぼって話しかけました。

このエピソードは、『ムーミン谷のなかまたち』第2話「春のしらべ」や『楽しいムーミン一家』第24話「帰ってこないスナフキン」(英語版はこちら)としてアニメ化されています。ムーミンバレーパークの「ショートストーリー~春のしらべ~」(現在は上演休止中)に登場したティーティ・ウーも話題を呼びました。
「この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ」に出てくるフィリフヨンカは、何かおそろしいことが起こるという不安にずっと怯えていました。住んでいるところは気にいらず、隣人ともギクシャク。
そんな彼女がふっきれたのは意外にも、本当に嵐がやってきて、危険が迫ったときでした。

若き日のムーミンパパの勇気
ムーミンパパが若き冒険の日々を綴った『ムーミンパパの思い出』。ムーミンパパ(当時はまだパパではなく、ひとりの若いムーミンでした)はみなし子ホームから逃げ出し、自分の人生を切り開いていきます。
これもまた“We are braver together “の物語で、ムーミンパパと発明家フレドリクソン、のちにスニフのお父さんとなるロッドユール、スナフキンのお父さんとなるヨクサルは海のオーケストラ号と名づけた船で冒険の旅へと乗り出します。

海のオーケストラ号はムーミンバレーパークのアトラクションとしてもオープン当初から親しまれてきました。秋イベント「ムーミンバレーパークのハーベスト」も毎年好評を博し、なんと今年ついにヨクサルが登場!

束縛を嫌う性格そのままに、園内を自由きままに歩きまわったり、寝ころんだりしているとか。

ムーミンバレーパークではハーベストの絵柄のグッズが購入できるほか、MOOMIN SHOP ONLINEでもヨクサルグッズが見つかりますよ。

さまざまな勇気の形
トーベ・ヤンソンは3冊の絵本でも、登場人物たちが勇気をもって旅する姿を描いています。
『それからどうなるの?』ではムーミントロールが暗いなか、ミルクを買いに出かけ、『さびしがりやのクニット』ではさみしさに耐えかねたクニットがひとりぼっちの家を捨てて旅立ちます。
この2作は2024年にフィンランドで新しいアニメ作品が作られ、9月には英語版がライブ配信されました。日本語版はムーミンバレーパークのムーミン谷の映画館で観ることができます。

勇気のあり方や表現はひとつではありません。意識せずになにげなく取った行動が誰かの目には勇敢に映ったり、周囲に勇気を与えたりすることもあるはず。ぜひ、ムーミンの物語のページをめくって、そのときどきのあなたに寄り添ってくれるストーリーをみつけてください。
文と写真/萩原まみ(text&photo by Mami Hagiwara)